クロワッサン。
よく、有名なパン屋さんでも人気商品として目にするけれど、 わたしがそのパンを手にすることはほとんどありませんでした。
それはなぜか?
短大に入ってすぐ、そのころ付き合い始めた彼氏と、
そこそこ有名なホテルにランチへ行きました。
いつもよりちょっぴりおしゃれをして、なんとなくお嬢様気分を味わいながら。
白身魚のメインディッシュとともに運ばれてきたのがクロワッサンでした。
そのころからパン好きなわたしは、気分上々で食事をしていました。
焼き上がったばかりであろうクロワッサンは、ほんのりあたたかくて バターの風味がふわっと口に広がり、本当においしいのです。
が・・・。
時間のたったものとは違い、あまりにぱさぱさとしていたためか、 パンくずがテーブルに散らばってしまったのです。
わたしが上手に食べられなかったのか?
よくみると、薄い生地のワンピースにもパンくずがついていました。
そっと、手で払いのけたのだけれど、そこにはうっすらとシミがついてしまったのです。
高級なものは、通常よりたっぷりのバターが入っていたのでしょう。
その日は帰るまで憂鬱な気分になったのは、言うまでもありません。
クロワッサンに悪いところがあるわけではありませんが、
これがトラウマというやつなのでしょう。
その出来事がきっかけで、その味の良さまでわからなくなってしまったようです。
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